2025年大阪・関西万博に向けて、またひとつ見逃せない空間が誕生しました。それが、「いのちの遊び場 クラゲ館」に新設された茶室「悠楽軒(ゆうらくけん)」です。この茶室の名前を授けたのは、なんと茶道裏千家の千宗室(せんそうしつ)御家元!由緒正しい命名とともに、日本文化の粋を集めた空間として早くも話題となっています。
まるで“茶の湯”のテーマパーク!クラゲ館の中に現れた秘密の茶室
クラゲ館といえば、創造と命のつながりをテーマにした斬新なパビリオン。その中にまるで隠れ家のように設えられたのが「悠楽軒」です。この茶室は、会期中に訪れる国内外の要人をもてなすための応接空間。まさに“おもてなしの極み”といった存在です。
特徴的なのは、立礼(りゅうれい)式と呼ばれる椅子とテーブルを用いた形式であること。伝統的な正座スタイルではなく、どんな国の人でも安心して日本の茶道に触れられるよう配慮されています。
古材やお茶ガラも活用!環境と美を両立させたサステナブルな設計
この茶室のもうひとつの魅力は、細部にまでこだわったサステナブルな素材選び。柱や建具には、他の茶室を解体した際に出た古材を再利用。さらに、伊藤園の茶がらや、大和ハウスグループのミニ胡蝶蘭「COCOLAN(ココラン)」の廃棄花を漆喰のつなぎ材に活用しています。
見た目の美しさだけでなく、地球環境にも配慮した設計は、訪れる人に“持続可能なおもてなし”という新しい感覚を与えてくれるでしょう。
露地から内坪を通って茶室へ——日本的な演出で心を整える
「悠楽軒」には、茶室に至るまでのアプローチにも日本の美意識が詰まっています。庭を模した「露地」や、茶室に入る前の前室「内坪(うちつぼ)」を通ってから室内へ。まるで気持ちを清めながら非日常の世界に誘われていくような、そんな設計になっています。
建築家・小堀哲夫氏「クラゲ館そのものが茶室です」
この「悠楽軒」が設置されたクラゲ館の建築・デザインを担当したのは、小堀哲夫氏。彼は「クラゲ館そのものが茶室のような空間」と語っています。日本の茶室は、家の最奥にある“最上のおもてなしの空間”。その思想を、パビリオン全体に投影しているというわけです。
設計は遠山典男氏、日本文化の本質を建築に込めて
茶室「悠楽軒」を設計したのは建築家の遠山典男氏。「お茶は世界中で用いられるもてなしの象徴。その中でも日本の茶室は、精神性や美意識を凝縮した空間」と話し、クラゲ館のコンセプトに沿いながら、伝統と革新を融合させた空間を創り上げました。
命名に込められた想い——千宗室氏と共に歩んだプロジェクト
プロデューサーである中島さち子氏は、子どもたちとともに“STEAM教育”の一環として、茶室づくりを体験するプロジェクトを実施。その集大成として、千宗室御家元から「悠楽軒」の名を賜りました。
名前に込められた「悠々と楽しく、命を感じる空間」が、世界中からの来館者を優しく迎えてくれそうです。
誰でも日本文化の真髄に触れられる場所へ
2025年の万博に訪れる機会があるなら、ぜひクラゲ館、そして「悠楽軒」に足を運んでみてください。茶室の静けさの中で味わう一服のお茶が、心に深く響く体験となるはずです。そこには、国籍や言語を超えて通じ合う“もてなしのこころ”が確かに息づいています。
日本の美しさと精神性、そして未来へのメッセージが詰まったこの空間を、どうぞお見逃しなく。
