不動産投資信託(REIT)には短期投資と長期投資の二つの投資タイプがあります。一般的に不動産投資信託は長期投資が良いと思われがちですが、短期投資にもそれなりの魅力があります。
【REITの短期投資とはどのような方法なのか】
REITはどちらかと言えば長期投資に向いていると言われていますが、必ずしも短期投資に向かないとも言えません。
なぜならREITと言えども上場している限り少なからず市場の影響を受けるからです。REITは今後も取引額が増えることが予想されていますから、そうなると長期投資タイプだけでなく、短期投資タイプにも投資家の参加が増えると予想できます。
そもそもREITは投資とは言え、不動産の賃貸収入が利益の元になっている安全性を謳った投資です。
とは言え、経済に大きなマイナスを与えるニュースが流れると、株価と同じように値崩れを起こします。ということは長期で預けるだけでなく、売却益だけを狙った短期投資を狙うのも決して悪い方法ではないのです。
【REITの長期投資は短期投資と比べるとどんな点が有利なのか】
投資関連のセミナーなどではよく<REITは配当性の高い投資なので長期投資に適している>などと言われています。でもそうとばかりは言えません。
なぜならREITは上場しているのですから市場の影響を受けることが少なくないからです。とはいえ今はNISAという投資に対して味方をしてくれる強力な非課税制度があります。したがってこれを利用すると長期投資の方がが良いと言えるかもしれません。
なぜならNISAの非課税期間は2014年から2023年までと非常に長いからです。したがってこの期間に投資取引をすれば年間100万円までの投資資金なら配当金や売却益が無税扱いになリ非常に有利になるのです。
ということはこの期間にNISAを使ってREITの長期投資をやれば良いのです。新聞やテレビなどでたびたび報道されていますからご存知でしょうが、現在日銀は黒田総裁が先頭になり、物価を2%上昇させるインフレ目標を掲げています。
今後もしその目標通りになるとすれば、お金の価値は年に2%ずつ減ってくることになります。そうなれば人々は資産を不動産に移す動きに出るでしょうから、結果としてはREITに対していい影響を与えます。
これも長期投資が良い理由です。また分配金の利回りにしても、株式に比べると高い水準を維持しているようですから、この点もNISAを使っての長期投資には有利になります。ただし、投資リターンを多くするためには取引の少ない出来高の低い銘柄を選ばないようにする注意が必要です。
REIT(不動産投資信託)とは何なのか?
≪REITデータ≫ 2015年4月17日現在 | |
REITの平均分配利回り | 3.06% |
REIT時価総額合計 | 10兆9,720億円 |
東証REIT指数 | 1,903,04 |
東証REITオフィス指数 | 1,842,20 |
東証REIT住宅指数 | 2,630,41 |
東証REIT商業物流等指数 | 2,476,20 |
Real Estate Investment Trustの略であるREITとは不動産や抵当証券などを投資対象に限定した不動産投資信託のことです。今このREITに投資家の熱い視線が集まっています。
REIT(不動産投資信託)はどのようにすれば取引ができるのか
REITと書いてリートと読みます。REITは不動産投資信託と呼ばれる金融商品のことです。つまり投資家から集めた資金をいろいろな不動産で運用して、それによって得た賃料収入などを投資家に分け与えるのです。
このREITは米国で1960年ごろ始まったものですが、日本には2000年代になって初めて入ってきました。とはいえご本家の米国とは異なった仕組みで運用されていることから、今ではJapanの頭文字JをとってJ-REITと呼ばれることが多くなっています。
REITは特殊な法人である<投資法人>によって不動産の運用がなされます。この法人の特徴は不動産の運用だけを目的にしているため業務が限られており多くに人員を必要としない点です。
したがって在籍するのは役員だけで、一般の社員はいません。社員がいないため資金の運用はすべて外部の資産運用会社に委託しており、そこで資金調達から投資不動産の選定、日々の資金管理などがすべて行われています。
REITの最大のメリットは、利益の90%以上を分配金に充てるため法人税が免除されることです。この制度があるため利益のほとんどが投資家に分配できるのです。これが株式などの投信と比べて分配金が高い理由なのです。
また基本的には事業を賃貸に絞っており、資金のかかる不動産開発などは行っていません。これも一般の不動産会社より収益が安定している理由になっています。
REITには他の投資と異なった3つの強みがある
上でREITの資金運用の特徴について書きましたが、言い換えるとそれらすべてがREITだけが持つ強みとも言えます。それをまとめれば次のようになります。
<強み・1>
REITは投資家から集めたお金を不動産に運用しますが、運用が賃貸だけに限られているため高い収益を得ることができます。
<強み・2>
REITの分配金が高いのは,配当利益金の90%を分配金に回しているため法人税がかからないからです。
<強み・3>
REITは賃貸事業だけに特化しているため、その分高い利益を得ることができます。
ではこのREITは実際にどのような不動産に投資しているのでしょうか。
REITはこんな不動産に投資している
REITは主に次のような不動産に投資しています。
<オフィスビル>、<商業施設>、<物流施設>、<賃貸住宅>、<インフラ施設>、<物量施設>、<ホテル>、<駐車場>、<不動産投資会社への出資>などです。
不動産投資信託(REIT)にはいろいろなメリットがある
REITはお手軽な資金で投資が始められ、しかも分配金が安定しているなど多くのメリットを備えた不動産投資信託です。ここではREITの具体的なメリットについて見ていきましょう。
不動産投資信託REITならではのメリットとは
別項でREITならではの強みについて述べましたが、ここではそれに関連してREITの株式投資などと比較したメリットを見ていきましょう。
<メリット1・分配金が高利回り>
REITで分配金の原資になるのは保有不動産の賃貸で得た利益です。賃貸料は定期的に入る収入ですから、他の投資に比べても安定性があリます。
それは収益を一般の株式会社のように事業運営資金として運用するのではなく、一部を必要経費として差し引いたあとの90%以上を投資家へ分配しているからです。
この高い分配率のため法人税免除という恩恵を受けているのです。これが株式投資などと比べて利回りが高い理由なのです。
<メリット2・値動きが安定している>
同じ投資でも株式の場合は景気によって値動きが左右されますから日によっては大きく変動することがあります。つまりニュースなどによって値が乱高下することが多いのです。
しかし同じ投資でもREITの場合は不動産の賃貸料が収益ですから収入の増減はほとんどありません。しかもいろいろな不動産に分散投資することによって収入はさらに安定しますから株式投資に比べてもリスクは格段に小さいのが特徴です。
【REITはインフレには特に強い金融商品】
上に挙げた二つのほかに、REITにはさらに強力な次のようなメリットがあります。
<メリット3・インフレに強い>
一般的に土地のような不動産の価格は物価の上昇に伴って上昇する傾向があります。それと同じようにREITのメイン収益源である不動産賃貸料も物価水準にの上昇にともなって上がっていきます。
とは言え、あまりにも急激な金利上昇が起こると脆さがありますが、そうでない限り、REITはインフレに強い金融商品であると言えます。
不動産投資信託(REIT)には、このような3つのメリットがありますが、メリットがあれはリスクというデメリットもあります。
したがってREITの投資家にとって必要なのは、将来起こり得るリスク要因を頭において、常に冷静な理解と判断に基づいて投資に臨むことが必要です。
それさえできれば、例え多少のリスクがあろうとも、利益を挙げることはあっても、大きく躓くことはないでしょう。
不動産投資信託(REIT)の2通りのタイプとは?
REITはスタート当時からあった「契約型投資信託」に加えて、後で「会社型投資信託」が生まれました。
これにより今では二つのタイプが運用されています。このうちの会社型投資信託は、今後の市場拡大が益々大きくなると期待されています。
今後も市場の拡大が期待されるREIT<会社型投資信託タイプ>
一般的に<J-REIT>と呼ばれているもので不動産投資法人という不動産の投資および運用を目的とした法人を設立し、広く投資家から資金を集め、まずその資金を不動産の所有に充てます。
この不動産投資法人は証券取引所に上場することによって投資証券の発行が可能になります。
それによって投資家は株式と同じように証券会社を介して市場での証券の売買ができます。とは言え不動産投資法人自体は法律で不動産を運用することが禁じられています。
そのため不動産の選定、運用や保管管理、それに一般の事務などの業務は外部の会社に業務を委託しています。
そしてそうしたところで運用され、それによって得た収益を分配金として投資家に配分しているのです。これに対してもう一つの<契約者型投資信託>とはどのようなものなのでしょうか。
【古くからあるREITの<契約型投資信託タイプ>
よく目にすることがあると思いますが「○○ファンド」等と名づけられた従来型の投資信託が「契約型投資信託」と呼ばれるものです。このタイプは「委託者指図型」と「委託者非指図型」の二つに分かれます。
これら2者の違いは、投資家と信託銀行の間に投資信託委託業者の介在しているかどうかという点です。
REITの投資では会社型投資信託では投資証券が発行されますが、この契約型投資信託の場合に発行されるのは<受益証券>と呼ばれるものです。
契約者指示型の場合は他の証券投資信託と同じように投資家、信託会社の2社の間には投資信託委託業者が介在します。
その業者が不動産の選定と運用を行い信託銀行に信託勘定を設けます。また信託銀行はこの投資信託委託業者を通じて不動産の保有や管理を行うのです。
では「委託者非指図型」とはどんなタイプなのでしょうか。これは投資家と信託銀行に委託業者は介入しませんから、信託銀行が不動産の運用・保有・管理などのすべての業務を担当することになります。
不動産投資信託ではリスクも考えておかないといけない
不動産投資信託(REIT)はメリットが大きい反面デメリットもあります。デメリットで最も大きいのは価格変動リスクです。つまり購入したときより価格が下がることによって損失を被るのです。
【REITはハイリスクハイリターン?の金融商品なのか】
一般的に投資信託はリターンが大きいだけにリスクも高いとされています。つまりハイリスクハイリターンの金融商品であると考えられる投資かも少なくないのです。
でもその点が強調されるのは、株式で運用される投資信託の方であって、資金が不動産で運用されるREITは収益が比較的安定しやすいとされていますからそれほどハイリスクとはいえません。
つまりリスクもリターンも株式による投資信託ほどではないのです。したがってハイリスクハイリターンではなく<ミドルリスクミドルリターン>と呼ばれることが多くなっています。
だからと言ってREITにリスクがないわけではありません。ではそのリスクとはどのような点なのでしょうか。
REITに限らず投資と呼ばれるあらゆる金融商品は、貯金のように安全が約束されるものではありません。したがってこれをやる以上リスクを覚悟しておかなければいけないのです。
REITの特長の一つにインフレに強い点があります。とは言え、経済状況が悪化して物価が下がると不動産の賃貸料も下降することもじゅうぶん予想できます。
したがって不動産市場が活気を失い入居率が低下し、それにより賃貸料が減少して収益が減少します。そうなると配当金が減少するリスクが出てくるのです。
【自然災害多発国の日本では不動産の損傷による損害のリスクもある】
地震を筆頭に自然災害が多発する日本では、それが原因で起こる不動産の損傷による損害リスクも考慮しておかなければいけません。
これは不動産に投資する上で忘れてはいけない基本的なリスクです。また金利変動によるリスクも忘れてはいけません。なぜなら金利が上昇すれば利払いが増えて、その分収益が縮小するからです。
その結果、分配金の減少や投資口価格に上昇が起こるのです。その上、金利上昇によって他の金融商品との金利差が縮小しますから、高利回りを謳うREITの優位性が弱まることになります。
REITが不動産のプロが運用されるからと言って、必ず高い運用益が期待できるわけではありません。したがって投資で失敗しないためにも、<資金の運用・管理について信頼に足る会社であるか>、あるいは<所有している不動産の質は良いか>などをしっかり見極めて臨まなければいけません。