高い強度と安定性 鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造(RC造)とは、文字通り鉄筋とコンクリートを組み合わせて造る工法です。この組み合わせは実に絶妙で、お互いの弱点を補完しあうことで、高い強度と安定性を実現しています。
コンクリートは、圧縮される力には強いものの、引っ張る力には弱い性質があります。一方、鉄筋は引っ張りには強く、圧縮には弱い性質があります。そこで、この二つを組み合わせると、圧縮にも引張りにも強い構造体が出来上がるのです。
しかも、鉄筋はむき出しの状態では錆の恐れがありますが、コンクリートはアルカリ性のため錆から守る効果も生まれます。
さらに、鉄筋は高熱にさらされるとグニャリと曲がってしまいますが、コンクリートに包まれているため、火事になっても構造体が崩壊する恐れは殆どなくなるのです。
非常に堅牢な構造のため、マンションやビルなどの中高層の建物に多く採用されています。
近年では、その耐震性や耐久性、デザイン性などが好まれ、住宅にも採用される例が増えています。
鉄筋コンクリート造住宅の法定耐用年数は47年と木造住宅(24年)の倍近い耐久性が認められているほど、長寿命な住宅と言えます。
耐震性能も高く、特に住宅に多く採用される壁式構造(柱や梁を用いず、壁で支える構造)は、モノコック構造と呼ばれ、地震エネルギーを、一体化した建物全体(6面)で受け止めるため、非常に優れた耐震性を発揮します。
大空間を作る事も容易で、何十帖もあるリビングを実現できるのはもちろん、
自宅の一部を店舗やオフィス、ビルトインガレージとして使う場合などにも適しています。
また、鉄筋コンクリート造の住宅は隙間のない一体構造のため、気密性が高く効率よく暖房・冷房が出来ます。
気密性が高い上に、コンクリートの厚い壁によって、遮音性能が高いのも特色です。交通量が多い場所でも騒音を大幅に低減でき、またピアノなどの楽器を演奏する家庭にもお奨めです。
また、コンクリートは不燃材料のため耐火建築物として認められ、防火地域に建築する事も可能です。
一方、デメリットとしては、まず、建築費が高い点。木造住宅と比べれば建築費はどうしても膨らみます。
しかし、木造住宅は比較的早く建替えなければならないのに対し、鉄筋コンクリート住宅は長い期間にわたって建替え不要で住み続けられますので、長い目で見れば必ずしも割高とは言えないかもしれません。
また、建物が非常に重いため、地盤は強固でなければなりません。土地によっては地盤改良が必要な場合もあり、その場合は大きなコストアップ要因になります。
コンクリートは大量の水分を含んでいるため、コンクリートが完全に乾くまで時間が掛かる問題もあります。
数年間は結露などに悩まされるケースもあるようです。
さらに、壁式工法の場合は壁を打ち抜くような間取り変更は困難ですので、将来家族構成や生活様式が変化して、増改築したいという時に大きな制約を受ける可能性もあります。もちろん、構造に関係ない内部の壁を取り払ったり、変更したりといったリフォームは充分可能です。